◆マイクロホンの製品仕様の読み方
 例えば,感度-50dB(0dB=1V/Pa,1kHz)とは?

◇はじめに
ノートブック型のパソコンで音声工房を利用する場合、パソコンに内蔵されているサウンド
カードのゲインが十分でなく、感度の高いマイクロホンを使う(もしくは、マイクアンプを介
する)必要があります。マイクロホンの感度は製品仕様として説明書等に記述されています
が、その読み方はやや難しいものです。ここではそれについて解説します。

◇マイクロホン感度の表示
あるマイクロホン(SONY製C-355)の仕様書には、正面感度として、次のように記載されて
います。
・開回路出力電圧レベル: -52±3 dB
・0 dB=1V/Pa、1000Hz(1Pa=10μbar=94dB SPL)
・推奨負荷インピーダンス3kΩ以上
この記述を解説しましょう。

上記の1行目は、感度とその測定の条件です。2行目は、感度の基準です。3行目は、(感度
を有効にする)使用時の注意事項です。1行目の -52±3dB というのが、ばらつきをも考慮
したマイク感度なのですが、感度の単位として dB を用いています。その dB の定義が2行目
の記述なのです。1Pa(パスカル)の音圧が加わった時に1V(ボルト)の電圧が発生するのを
0dBという基準にしますよという意味です。2行目の中間にある 1000Hz というのは、感度の
測定周波数を 1000Hz とします(感度は、周波数により変わりますので)ということです。2行目
の括弧の中には、1Pa(パスカル)という音圧を他の圧力単位で表現したものを付け加えてい
ます。1Paは 10μbar(マイクロバールと読む)と等しく、かつ 94 dB SPL(デービーエスピーエル
と読む)に等しいと注記しているのです。SPLというのは、Sound Pressure Level の略で、音圧
レベルと訳されています。dB SPL という単位は、騒音の大きさを表す(カナ書きの)デシベルと
いう単位とほぼ同じです(以前は、ホンと呼んでいたものです)。なお、騒音の大きさをいう場合
は、聴感補正と呼ぶ周波数荷重(A曲線とか)をした結果をいうのが通例です。パスカルやマイ
クロバールというのは、大気圧や台風の圧力を表すものと同じです。ただし、音圧に比べて大
気圧はずっと大きいので、Pa(パスカル)の100倍のhPa(ヘクトパスカル)や、μbar(マイクロ
バール)の1000倍のmbar(ミリバール)で表します。

 ところで、1Pa=10μbar=94dB SPL の音というのは、どの程度の大きさの音なのでしょうか。
大雑把には、少し大きめの音量で発声する際の、唇前方5cmの位置(電話の送話口)での音圧
と思ってください。
 このマイクロホンは、
・出力インピーダンス 200Ω±20%
のもので、感度の3行目に記載されていますように(3kΩ以上の)高インピーダンスの回路で
受けることを要求しています。1行目に「開回路」と記述しているのは、無限大のインピーダンス
の回路で受けた場合の電圧であるという意味です。

◇他のマイクロホン仕様項目
 マイクロホンの仕様項目で、感度に関係する他の項目についても若干説明しましょう。
C-355の仕様には、
・自己雑音(等価入力音圧換算): 22 dB SPL以下
というのがあります。これは、マイクロホンが発生する固有の雑音を、「入力音圧」の形で等価
的に表現したものです。例えば、1Pa=94dB SPLの音圧が加わったとしても、22 dB SPL以下は
雑音であり、SN(信号対雑音比)は72dB以上取れないことを意味しています。

 その他の仕様項目として、
・最大入力音圧レベル 138dB SPL以上(1000Hz、1%歪) という項目もあります。この項目は、
許容できる(1%)歪み(ひずみ)以下で、どれほど大きな音が加えられるかを表しています。歪み
成分を雑音とみなすと、1%の歪みは、SNで40dBに相当します。それ以上大きな音が加わると、
歪みがさらに大きくなることを表しています。