◆ Roland 製の固体録音機 R-1 について
フラッシュメモリに44.1kステレオ録音が可能

◇はじめに
ディジタルオーディオテープ(DAT)レコーダ相当の品質で録音できる録音機
として、音声工房だより第82号でマランツPMD670を紹介しました。この製品は、
携帯して録音する装置としては図体が大きく、筆者自身も購入をためらってい
ました。

このたび、Roland からアマチュア用と思われる同種の製品R-1が発売されまし
た。この製品は、コンパクトフラッシュメモリ(CFメモリ)に44.1kステレオ
のPCM信号を書込む小形録音機で、約4万円という手ごろの価格でしたので、
早速購入し、性能を試験しました。

◇Roland R-1 の概観と仕様
製品名は、24bit DIGITAL WAVE/MP3 RECORDER R-1 となっており、外観
および諸元は次のとおりです。

・寸法: 99×134×30 mm
・質量: 260g
・電源: ACアダプタor 単3電池×2
・記憶メディア: 32MB〜2GBのCFメモリ
・USB 1.1/2.0
・ステレオマイク内蔵
・マイク/ライン入力
・ライン/デジタル出力
 ヘッドホン出力
・トラック数: 2
・AD/DA変換: 24ビット、44.1kHz
・録音形式
  MP3: 44.1kHz、64〜320 kbps
WAV: 44.1kHz、16/24ビット
・再生形式
  MP3: 8〜48kHz、8〜320 kbps
WAV: 8〜48kHz、8/16/24ビット
・周波数特性: 20Hz〜20kHz
・その他: 13種のエフェクトを用意している.
 主に、音楽録音用のものですが[Noise Reducer]や[Hum Noise Cut]は、
 音声録音用にも使えるものと思います.

◇R-1 の音響特性(主に、SN比)
・録音系
外部マイク端子に、ダイナミック/コンデンサマイクを接続して音声入力した
場合と無信号の場合のレベル比較により、録音系のSN比は、約63dBとなった。
また、ライン入力系のSN比は、約76dBであった。

・再生系
再生系のSN比を簡単に求めることは困難であり、次のように、再生計+録音系
(+DATレコーダ)の特性を測定した。音声工房の信号作成機能により、純音
+無音のデータを作成し、CFメモリに書き込む。そのCFメモリをR-1に装着し、
再生する。この再生信号をDATレコーダで録音し、その録音信号を再生して、
R-1で録音する。この録音信号の入ったコンパクトフラッシュをはずし、音声
工房が動作するパソコンで読み出し、信号部と無音部のレベルを測定する。
その結果は、SN比として、約72dBになった。この結果から、R-1の再生系、
DATレコーダの録音・再生系は、少なくとも72dB以上のSN比を有するというこ
とができます。

・音響特性の評価
今回の評価試験には特別な装置・環境を用いず、音声工房とDATレコーダのみ
を使用しました。それでも、上述のように、サウンドカードなどと比べて高い
SN比を有する(残留雑音も小さい)ことが明らかになりました。
歪特性、線形性、など他の特性をもっと詳しく測定しなければわかりませんが、
かなり高い性能と推察されます。

◇操作性など全般的な評価
上述のようにR-1の音響的な特性はかなり優れておりますが、操作性などの全般
的な評価・印象を、主観を交えて述べましょう。

・作りが「ちゃち」: 写真(略)からはわからないでしょうが、ちゃちな作
 りです。たとえば、CFメモリの挿入口から、中の回路が見えるとか、筐体の
 接合がずれているとか。

・携帯して録音するのが苦しい: 内蔵マイクを使って録音する際は良いので
 しょうが、外部マイクを使用する場合、そのマイクと R-1 を手に持ち、ボ
 タン操作するのは至難の業です。どちらかをスタンドなどに設置せねばなり
 ません。

・R-1 は、24ビット録音ができますので、ダイナミックレンジの大きな信号を
 録音するのに便利です。ただし、現在のところ音声工房では、24ビットの
 データを扱うことができませんので注意して下さい。

・録音は、すべて44.1kHz標本化のステレオ信号になります(よって、記憶容量
 も大きくなります)。録音対象が音声の場合、もっと低い周波数のモノラル
 録音で構わないのですが、選択できません。

・ファームウェアのバージョンアップ: R-1 に組み込まれているソフトウェア
 (このようなソフトを、ファームウェアと呼んでいます)は、ユーザーサイド
 でバージョンアップが可能です。Roland 社の案内に従い同社サイトからダウン
 ロードしたソフトウェアをインストールし、現在は、Ver.1.03 になっていま
 す。
 上記操作には若干の知識・手間が必要ですが、メーカーに送り返すことなく
 性能向上(バグフィックス?)できますので、この方法は大歓迎です。